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サマータイム

今月初めのゼミの夏合宿のことだった。時間概念にかんして卒論を書きたいという学生が、発表のなかでサマータイムの説明をしているのを聴いていた。

彼女はいった。サマータイムっていうのは、夏のあいだだけ時計の針を早めることです。たとえば正午のあと午後1時を飛ばして午後2時になる、というふうに。……えっ、そうなのだっけ!?

いうまでもなく、サマータイムとは夏のあいだだけ時刻をくりあげることだ。でも当然のことながら、そのために特定の時刻を省略してしまうという方法が採られるわけはない。単純に一時間なりを早め、たとえば実時刻午後6時を午後5時ということにして、始業や終業の時刻を前にずらすという制度のことですよね。

日本でもじっさいに戦後の数年間だけ実施されたことがあるらしいが、なにしろ西欧とちがって緯度がそれほど高くないので、サマータイムらしい日の長さを実感できるのは札幌以北くらいのものだろう。近年でも思い出したようにサマータイム導入論が唱えられることがある。省エネなど経済効果を期待してのことだろう。日本のばあい、なんでもかんでも「経済効果」なのだ。

それにしても、サマータイムになると午後1時がなくなるという学生の理解は、たしかに勘違いではあるのだけれど、そういう世界を空想してみるのは愉しい。明日からサマータイムだから、当分のあいだ午後1時はこの世から消えてしまう。アナログ時計も、正午を過ぎたあと、短針は(どうやってかは想像できないけど)けっして「1」を指すことなく、「2」へスキップしてしまうのだ。