計画停電の箱根

箱根に行ってきた。例年5月に実施される新入生歓迎行事の下見である。はたして実施できるかどうかもわからないのだが、その時点ではまだ何も決まっていなかった(入学式中止や授業開始日変更は後日決まった)。予定どおりに、教学補佐や旅行社のひとたちと一緒に出発することにした。

箱根で会ったひとびとがそろって口にしたのは、地震や津波や原発事故というよりも、計画停電の影響であった。

その日の箱根町は1520から計画停電が予定されていた。美術館はどこもエスカレーターを止め、開館時間を制限して営業していた。ある美術館の担当者は、1400までしか営業できないのだとこぼした。さまざまな管理をシステムでおこなっているため、それを落とすのに一時間くらいかかるのだという。

見かけた観光客の姿は数えるほど。土産物屋の多くは閉店していた。ホテルも営業休止らしいところがいくつか見受けられる。

新入生歓迎行事で利用する予定のホテルは、その日の営業はランチだけだという。ある程度の数の宿泊客があるときは宿泊も営業する。停電となれば、廊下もエレベーターも停まる。客室のトイレも、水を汲みあげるモーターが止まるため、使用できなくなるという。

打合せをしていると、いよいよ雪が降りはじめた。3月下旬とはおもえない光景であった。

まもなく計画停電の時間帯にさしかかろうとしていた。1540に打合せを切りあげ、夏タイヤのままのレンタカーで箱根の山を下りに下った。

箱根湯本の駅をすぎ、旧R1と合流する交差点にさしかかったとき、信号の灯りが消えた。停電が始まったのだった。