東日本大震災 写真保存プロジェクト

Yahoo! Japan で「東日本大震災 写真保存プロジェクト」という企画が始まった。被災した地域の写真を多くのひとたちから投稿してもらい、地図上にマッピングしようという趣旨である。

この大震災は、1000年に一度の規模の災害であるといわれているが、同時に、ひじょうに大量の写真や動画によって直接記録された、おそらく史上初めての大災害でもある。ごくふつうのひとたちがケータイやデジカメなどを常時携行しているという状況のなかで発生したからだ。

だから、それらの映像を適切な仕方で集約すれば、かけがえのない記録となるばかりか、さまざまな形で活かされうる貴重な資料ともなるだろう。

そんなことを考えていたところ、この企画のことを知った。

立ちあげたのが Yahoo! Japan というのに、やや意表をつかれた感があったことは否めない。だが営利目的ではないと明記しているし、ある程度の技術と資力、それに広範なネームバリューも必要だろう。いろんな意見があるかもしれないが、個人的には総じて良い試みだとおもっている。

4月19日より写真の投稿受付が始まった。被災後の写真だけでなく、震災によって失われてしまった被災前の写真もうけつけるという。

そこでさっそく、手許にあった写真を数枚、投稿してみた。一昨年の秋に撮った、陸前高田の写真だ。そのときは北海道からの帰途、ここで一泊したのだった。ちなみにR45を三陸の海沿いに南下するそのルートは、ほとんど今回の被災地に重なっている。

写真のうち数枚をあげてみたい。ただ、ぼくの関心にしたがって撮った写真であることをご諒解いただきたい。

道の駅陸前高田の国道ぞいにたっていた看板である。東に面して「千昌夫」、西に面して「村上弘明」。

道の駅陸前高田は、この街の生活のなかに根づいているようにおもわれた。

敷地内には太鼓館という建物があった。日が暮れると、街のひとが集まってきて、ものすごい音が響く。太鼓の練習を始まったのだ。窓ごしに、熱心に太鼓をたたく子どもの姿が見えた。朝になると、早くから野球のユニフォーム姿の少年たちが集まってきて、マイクロバスで出かけていった。試合に行くのだろう。

ほんのわずかばかりではあったが、この街の息づかいに触れることができた気がした。

その道の駅は、高田松原に隣接した海際に立地していた。だから今回の震災の映像を初めてみたときは、言葉を失ってしまった。

あの、やさしくも美しい街が戻ってくることを願っている。