書きかけの論文を再開する

書きかけのまま、しばらく放置していた論文のファイルを開いた。

記録によれば、このファイルを前に開いたのは5月8日だ。2カ月半ちかく、この論文に取り組むことができていなかったということだ。

もちろんこの間なにも書かなかったわけではない。短い原稿や書評といったような仕事はしてきた。それらも大切な仕事である。けれども、書きかけのこの論文は、ぼくにとってひじょうに重要で、もっとも力を入れて取り組まなければならないものである。

そして、そういう類の仕事は、しばしばそうであるように、ついつい先延ばしされてしまう。とくに今年度のように、不測の事態が生じたり、授業期間が変則となったりすると、なおさらだ。この2カ月半、学務やら学会やら頼まれ仕事やらに追い回されているうちに、例年以上の速度で、みるみる時間が過ぎていってしまったような気がする。

しかし、メインの論文からしばらく離れていた最大の理由は、多忙にあるのではない。じぶん自身で、そのことをはっきりと自覚している。

それは「余裕」とか「平静さ」みたいなものである。きちんと論文に取り組むためには、それに向けて気持ちや意識を整理しておく必要がある。そうした精神の冗長性みたいな部分が、この間ともすると見失われがちだった。

まだ春学期授業が終わったわけではない。今日もこのあと横浜キャンパスへ行かなければならない。もろもろの仕事が完了し、執筆に専念できる時間が到来するのは、まだ一カ月以上先のことである。

ぼちぼち気持ちを引き締めて、論文に取り組む態勢を呼び戻したい。

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