中国・四国ぐるり2900km その2

W800で市川を夕方の1600ごろに出発し、首都高、東名、新東名、名神、山陽とひた走り、さらにR188、山口県道72、同23と走り継いで、上関町(山口県熊毛郡)にある海来館についたのは、翌日の1020すぎだった。

  ▲夜明け前は冷え込んで寒かった。山陽道瀬戸PA(岡山県)にて

出発からここまでで約950km。さすがに遠かった。わざわざバイクや車で出かけてゆくのは、この距離を否応なく身体で感じとるためでもある。

海来館(みらいかん)は、中国電力が設置している原発PR館。上関町の街中に建っている。上関原発の着工が進捗しないなか、先行的(かつ先兵的)に開設している施設だ。

三階だて。一階はジオラマなど、二階はラウンジ、三階が展示コーナーという構成である。展示はパネルばかりで、まじめになにかを伝える気があるようにはみえなかったが、それは珍しいことではない。

  ▲1階の展示の中心は原発予定地のジオラマ

  ▲3階の展示室は、がらんとしていた

二階はラウンジ。地元のおばあさんたちが集まって、涼んでいた。彼女たちは物珍しそうにぼくを見て、声をかけてくれた。あいにく話す言葉の半分もうまく聞きとれなかった。それでもいちおう意思疎通というものは成り立つものである。涼しくて無料でお茶も飲めてありがたいことだという意味のことを、ひとりのおばあさんが話してくれた。

半島の先端近くまでWでいってみた。最後の集落が四代。写真の正面奧に見えているのが、それだ。

四代の集落をすぎると、道はいっそう細くなった。やがて行き止まりを示す看板があらわれた。

W800を停め、歩いて先まで偵察にいってみた。道に沿ってきれいな石垣が組まれていた。中国や四国では、こうした石垣が各所にうまく活かされている。

その先も道はまだ続いていたが、ちょっと荒れていた。この先のちいさな尾根を越えると、その向こうは原発用地であるらしい。

下は、この箇所をGoogle Earthのツアーで表示させた画像だ。右手奧に見える工事中の箇所が、原発予定地であるとおもわれる。

このときは見つけられなかったのだが、帰ってからGoogle Earthでみると、半島の北縁に、地図に描かれていない道路が走っていることがわかった。これが原発用地への取り付き道のようだった。

半島の道をW800で走った。岬の先のほうまで、みかん畑になっているようだった。畑もあり棚田もあった。

ぼくのような通りすがりの余所者の目には、豊かで穏やかな風景に映る。しかし上関原発建設をめぐって、スイシン派とハンタイ派に、町は二分されているのだという。室津の集落にはハンタイ派の事務所があった。道沿いにはスイシンを掲げる看板を見かけた。

「鳩子てんぷら」というのを売っていた。魚肉練り製品の揚げたものである。晩のおかずに一袋買う。祝島からの船が到着した。Wのナンバーをみたおじさんが、遠いところからごくろうさま、と気さくに声をかけてくれた。

街のひとに、いわゆる「観光名所」を訊ねると、二年前にできたばかりという日帰り温泉「鳩子の湯」と、「四階楼」という擬洋風建築を教えてくれた。建物には、電源交付金によるものである旨のプレートが埋めこまれていた。

その3へつづく。

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