中国・四国ぐるり2900km その3

愛媛県の伊方原発に併設されたPR施設であるビジターズハウスは、細長く延びた佐田岬半島の中間あたりの稜線上にあった。

その立地の仕方は、島根原子力館(島根原発に併設されている)によく似ている。こちら側には街があり、向こう側には原発があって、その中間にあり両者を隔てつつ媒介するのが、PR館なのである。

  ▲展望室から南側をのぞむ。尾根上に立地しているのがわかる

伊方ビジターズハウスの展示は、ほとんどがパネルと映像をつかったもので、あまりお金をかけられているようには見えなかった。

子どもづれ多数。子どもたちは例のごとく展示にさして興味を示さず。ゲーム方式の展示物のボタンをめちゃくちゃに押しまくったり、館内をかけまわったりしていた。付き添いのおとなたちは、女性はおしゃべり、男性たちは涼んでいた。隣は道の駅「きらら館」で、両者は回廊でつながっている。

展望室にあがってみた。北側の眼下に伊方原発の原子炉建屋がみえた。

ここから豊後水道をはさんで北にゆくと、上関である。展望室の説明には、上関原発の予定地である「長島」や、その対岸にあって反対運動のさかんな「祝島」の地名が記してあった。

「メロディーライン」という名のR197のバイパスから北へ折れてくだってゆくと、愛媛県道255が走っている。半島の北縁を地形に沿って1.5車線ほどの狭小な道がくねくねとうねっており、原発敷地のまわりを寄り添って走る。例によって、鉄条網つきのフェンスに囲われ、要所に監視カメラの塔がたっていた。

  ▲県道255からは伊方原発が近い

伊方町役場の向かいにたつ町民会館の一階に、原子力広報センターというPR施設がある。ビジターズハウスは事業者である四国電力がやっているのにたいし、こちらの開設主体は公益財団法人。ひらたくいえば、受け入れ自治体である愛媛県の運営、ということだ。

  ▲写真左が町役場。広報センターは右の奧の建物1階にある

展示はパネルが中心だ。来訪者はおらず、係員もいない。

ところどころパネルの上から紙が貼ってある。特定の部分を隠すためらしい。終戦直後の「墨塗り教科書」みたいなものである。

町民会館には公民館も併設されている。ロビーがあって、ソファやテーブルがおかれていた。行き場のない高校生がたむろしていた。

そのほか、人形峠(5月につづいて再訪した)や木津川のPR施設なども見てきたのだが、長くなるのでブログでは割愛する。

これで全国の原発関連のPR施設のほぼすべてを実踏したことになる。そろそろ、どうにかすることを考えるべき時期かもしれない。

その4につづく。