nanacoカードで不正利用被害に遭う

nanacoカードの不正利用被害に遭った。チャージ済みの金額のうち、300円ちょっとを残して、あとはすべて、いつのまにか不正につかわれてしまっていた。あれで税金を払うつもりだったのになあ。

カードを紛失したぼくに最大の落ち度があるといわざるをえない。失われたおかねについては、もう授業料として観念すべしと、じぶんに言い聞かせている。

nanacoカードというのは、セブンアイ・グループが出している電子マネーのカードである。現金もしくはクレジットカードから事前にチャージしておくプリペイドカード方式だ。

ふだんその手のカードをあまり持ち歩くことはしないのだが、2月某日、たまたま持ちだす機会があった。そのとき品川のセブンイレブンで小さな買物をし、その支払いにこのnanacoカードを使用した。おそらくは、その直後にぼくが落としたのだろう。nanacoカードだけがスリに遭うということも考えにくいことであるし。

カードの紛失にぼくが気づいたのは、それからだいぶたってからだった。なにせ日常的にはつかっていないから。バッグのなかのどこかに紛れ込んだのかとおもい、探した。見つからない。そこで念のためネットで利用履歴を確認してみた。

すると、当該の2月某日、ぼくがセブンで買物をした数時間後から、複数回にわたって利用された記録が残っていた。もちろん、その利用者はぼくではない。ぼくのnanacoカードを拾得した誰だかわからない不明の人物、である。某日を含めて三日後までには残額の大半が使用されていた。以後、使用の形跡はない。

その人物が、ぼくの落としたnanacoカードを拾い、届け出ることなく、無断で不正に使用したものと推測される。というか、それでまちがいないだろう。

ぼくのnanacoカードを拾得したその人物は、相模原市近辺に居住する者である可能性がある。というのも利用履歴によれば、「ヨークマート富士見店」で3-4回、使用されているからだ。

ヨークマートは、ヨーカドーの下位にあたるスーパーマーケットである。失礼ながら、たいして高価なものは売っていない。なんらかの方法で手にしたぼくのnanacoカードを「臨時収入」にすることに決めたその人物は、けっきょくそれをトイレットペーパーや食料品などの購入代にあてたのかもしれない。そう考えると、かれもしくは彼女の生活ぶりが想像され、やや胸に来るものがある。

いずれにせよ、nanacoカードの使用時には、パスワードなどの認証作業は一切要求されない。だから、不正に拾得したひとが不正に利用するにあたり、それを思いとどまらせたり、防いだりするしくみは一切ない。落としたり紛失したりしたら、そこで終わり。そのことが今回はっきりわかった。

さらにもうひとつ、わかったことがある。nanacoカードは、不正利用されたばあいであっても、その利用分については一切補償がないということだ。

窓口に電話した。セブンアイのオペレータは、電子マネーは現金と同じであり、だから不正利用に補償がないのは当然であるというだけであった。悪いのは落としたあんた、わしらは一切関知しない、ということらしい。そして事務的に淡々とカードの利用停止(といってももう残額はほぼないのだが)と再発行の手続きを述べるのであった。

しかも、そのカード利用停止措置とて、かなり脇の甘い話であった。カードは、本人が利用停止を申し出た時点でロックされて利用不可となる。ただしそれはセブンやヨーカドーなどセブンアイグループの店だけの話である。加盟店は最長三日後になるという。

しかし現実問題として、不正利用被害に遭うばあい、たいていは紛失直後に気づくわけではなく、なにがしかのタイムラグが生じるはずである。その間に不正利用されてしまえば、手も足も出ない。なんの対策もとっていないわけではないというエクスキューズにすぎないように感じられる。

早い話、紛失したらもう諦めるしかない、ということだ。

まだある。nanacoカードを再発行するための手続きも、これまたけっこう繁雑なのだ。

まず電話で引継ぎ番号を発行してもらう。それをもってセブンかヨーカドーへ行き、新しいカードとともに、引継ぎの書類を発行してもらう。書類に必要事項を記入したうえで、本人確認のための書類(免許証など)のコピーを添えて、指定の場所へ送付する。新カードの使用が可能になるには、それからさらに二週間ほど待たなければならない。おまけに、再発行手数料300円を要求される。

紛失したおまえがみんな悪い、という認識を全開にしたシステムというべきであろう。

ちょうどいい機会なので、他の電子マネーがこの点どうなっているか調べてみた。waonもEdyもsuicaも、nanacoと同様、不正利用分については一切の補償がない、ということがわかった。なるほど。

ようするに、この手の電子マネーのプリペイド式カードには、不正利用被害にたいするセキュリティなど事実上まったく施されていないのだ。その点、たいていは一定の不正利用補償がついているであろうクレジットカードとは全然ちがう。

いい機会なので、電子マネーについて、少し考えてみた。つぎの投稿につづく。

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