散歩をしていたら奇妙な形をした車が停まっているのに気がついた。なんだろう?
近寄ってみると、こんな恰好をしていた。水陸両用車のアンフィレンジャー (Amphiranger2800SR)、ドイツのRMA社製である。初めて見た。
オーナーの方に挨拶をして、写真を撮らせてもらった。陸上ではジープのような四駆(パートタイム)として走行し、水上ではスクリューに切り替えて船舶として航行する。むろん運転免許のほかに小型船舶の免許も必要だし、車のほうも車検だけでなく船舶検査も受けなければならない。小型ではなく特殊船舶なので、ホバークラフトなどと同じ扱いなのだそうだ。
車体はアルミ製。ぼくのディフェンダーも同じくアルミ製車体だが、隙間だらけのディフェンダーとはちがい、こちらはがっちり気密が確保されている。
おしりのところについた大きなスクリュー。ガソリンタンクは80リッター入り、洋上では三速で220分、二速で150分航行できるという。予備タンクはもっていかない。洋上ではどのみち補給できないから、とのこと。
荷室にはパドルや浮き輪など、船舶に必要な装備が常備されている。
エンジンはフォード製のガソリン。排気量を訊くのを忘れたが、あとで調べたら水冷V6SOHCの2800ccだそうだ。
運転席側の屋根に吸気口があり、排気口は助手席の前の左側方部にある。下の写真はその排気口だ。この排気口は水上では自動フラップによって閉塞されるという。
こちらはコックピット。ハンドルの脇に浸水してきた水を排出するビルジポンプのボタンがあった。運転席の横の床は簡単にはずすことができる。ビルジのようすを覗き見るためだそうだ。
こちらは船舶として航行中に使用する灯火類のスイッチ。マスト灯などはふだんは荷室に積んである。サンルーフのように見える屋根のガラス部は、緊急脱出口である。
車体の下部は船底の形状のカウルで覆われている。浸水を防ぐため、ドライブシャフトのまわりなどはすべてシールされている。そのため、整備や修理を実施しようにも、通常の車のように下からアクセスすることができない。車内の床をはずして作業するのだという。
日商岩井が並行輸入していたそうだが、すでに本国でも生産中止となって久しい。部品供給もなく、ディーラーもないため、整備は自力。
平日は一所懸命はたらいて土日はこいつの整備に費やしているとオーナーは笑っておられた。パワステが壊れたのでじぶんで削り出して自作したというような話を聞くと、維持するのはただ事ではない。よほど好きでなければ乗り続けられないだろう。
いいものを見せていただきました。お近くのようなので、またお会いしましょう。