古いMacの冊子体のマニュアルがごっそり発掘された話、ハードウェア篇、ソフトウェア篇の本篇2篇に引きつづき、今回はおまけ篇である。
四角い箱が発掘された。中身は、PowerBook G4の、取り替え用のバッテリーだった。チタニウムのものだった。
このころまでは、Appleもノートパソコンのバッテリーを交換式にしていたのだった。手に持ってみると、ずしりと重い。
緑色のこのマニュアルとケースは、MOドライブのもの。MO (Magnetic-Optical) ディスクは、1990年代に一部でつかわれていた記録媒体である。FD(フロッピーディスク)よりは大容量で(といってもせいぜい230-640MBくらいだが)、信頼性も高かった。
世間ではさほど普及していなかったようで、もしかするといまでは覚えているひともほとんどいないかもしれない。ただ出版業界では当時わりあいよくつかわれていた。一時期ぼくも個人でドライブをもっていたが、ほとんどつかわないうちにCD-RやDVD-Rに取って代わられた。それもいまやほとんど見かけなくなったが。
Appleのインターネット接続マニュアル。どの機種のものかは不明だが、おそらく初代のiMac以前のものではないかしら。90年代のAppleは超低迷しており、インターネット接続でもWindowsの後塵を拝していて、けっこう面倒だったように記憶している。
このマニュアルはソフトウェアのものだけれど、このほかにモデムという装置をつかう必要があった。パソコンにつないだモデムと電話のジャックを電話線でつなぎ、そのつど接続していた。つなぐとき、モデムからピーヒョロロロと笛を吹くような音が聞こえた。音声を介したアナログ通信だった。なにせ電話線をつかっていたのだ。
ニフティサーブの書類もでてきた。これはなんだろう、会報みたいなものだろうか。よくこんなものを取っておいたものだと、われながら呆れた。ニフティーサーブはパソコン通信は、インターネットが普及するよりも前に流行っていたクローズドな掲示板サービスである。
あの時代、パーソナルコンピュータはまだかろうじて、個人をエンパワーする「思考の自転車」であり、ネットはテクノロジーによって実現される民主主義の世界だと信じられていた、あるいは、信じようとしていた。
技術であれ組織であれ人間であれ、黎明期とは、よくも悪くもナイーヴなものである。