本日2020年7月22日は、もともと2020年東京オリンピックが開幕するはずの日だった。ところが現実にはオリンピックは延期されてしまい、その代わり——というわけでもないのだろうが、結果的にこの日に開始されたのは、「GoTo」ナントカなる謎キャンペーンだった。
現在の状況について、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が終息しつつあると考えているひとは、おそらく日本中を探してもきわめて少数ではないかとおもわれる。ぼくも、科学的なことはよくわからないが、もう大丈夫だと判断するに足る情報や説明には、まだ接していない。したがって、いまこの段階でこんなキャンペーンをすることは、下手をしたら感染拡大を助長する怖れもあると危惧している。
にもかかわらず、政府は後に引く気はないようだ。経済優先ということかもしれない。たしかに観光業など自粛生活で苦境に陥った産業を支援するという意義は、理解できなくもない。だが、この状況このタイミングでそれを強行するという判断は、ほとんどトランプ政権と大差ないようにさえ見える。穿った見方をするのは社会学者の常だが、観光業者救済などという題目はじつは建前にすぎず、実際にはどこかぼくたちの知らないところで誰かがこっそり得をする仕掛けになっているのではあるまいか、と想像している。
「GoTo」キャンペーン強行のはてに、ぼくたちが連れてゆかれるのはどこなのだろう? ぼくの危惧や不安が、無知や思慮不足ゆえの杞憂であってくれればいいのだが。
ところで、経済再開にイケイケの政府の掛け声に呼応したのか、文科相も大学の秋学期について、なるべく対面授業を増やせと促すような発言をしたらしい。
ぼくの個人的な感想を述べると、「大きなお世話だ」である。教育における時間と場所の共有の重要性は、大学関係者なら誰だってよくわかっていることだ。その原理原則を簡単には前提できなくなったのが、いまの世の状況だろうに。このひとは、実際に大学の現場がこの春からどうやってこの事態を乗りきってきたのか、把握したうえで発言しているのだろうか?