山頂は、ぐるり360度の大パノラマをのぞむことができた。
西には摩周湖と屈斜路湖、硫黄山や雄阿寒岳のはるか向こうに、トムラウシが見える。
北は清里の平原や小清水のオホーツクの海岸線につづいて、能取湖、サロマ湖。
東は手前に海別岳、向こうに知床連山が雲をかぶっていた。知床の横には国後島の長大な陰が横たわり、その向こうに歯舞諸島のどこかの島の平たい陰がみえた。その手前には昨日まで2泊した野付半島がちょこんと見え、その背後には根室半島の陰がみえる。
南側には根釧原野がひろがっており、太平洋岸の海岸線まで見わたせる。
まさに道東一望。独立峰ならではのすばらしい展望であった。
ここで持参したパンをたべて小休止。しかし北から冷たい風が吹き上げてくる。写真をとって小休止をしているうちに、たちまち手がかじかんできた。
0840下山開始。途中何人かとすれちがう。ほとんどが、ぼくと同様の単独行。たまに夫婦がいる。
往路はそれなりにきつかったが、下りは比較的順調にすすむ。0920上二股の分岐。新道へ折れる。
シラカバの林を抜けていくと、ちょっとだけ登り、小ピークがある。ふりかえると、斜里岳山頂を正面に望むことができる。さっきすれちがった誰かだろう、山頂に2-3の人影がみえた。
ここからしばらくは尾根歩き。1006熊見峠に到着。ここまでくると眺望は効かなくなる。
ここからは初めゆるゆると、やがて急激に下降する。ずっと下方にある沢まで降りるのだ。
ルートははっきりしているが、泥濘があったり、岩がごろごろしていたりして、歩きにくい。それに、朝から歩いてきて、そろそろ膝に来ている。
そんなところで、転倒した。足場の悪いところを降りようとして態勢を崩し、登山道から落っこちそうになってしまった。あわてて笹の茎をつかんだ。ところが、脚をかけようとしても、滑ってダメ。さいわいストックが手首にひっかかって残っていたので、それを地面に突き刺して、這い上がることができた。下を見ると、かなり急な傾斜。下まで落ちたら自力で這い上がれたかどうかわからない。
そこから5分で下二股。ここからは、朝、あんなに長く感じた沢を順調にくだり、1156には清岳荘横の登山口に帰着することができた。
登山靴を脱ぎ、簡単に汚れを落としたあと、清岳荘の管理人さんに挨拶にいく。この時間に帰ってこられれば100点満点です、360度パノラマが見られたのは幸運でしたよ、なかなかないことです、ということだった。
ディフェンダーで林道のダートをゆっくりとくだり、清里町の中心にある緑清荘へ行き、温泉に入る。
ふと気になって、駐車場からきれいな三角形をした斜里岳の山容を眺めながら、フェリー会社に電話をかけた。台風が本州を北上しているという情報があったからだ。
案の定、予約していた大洗行きは欠航、と告げられた。青函航路ならまだマシだろうと、陸走に切り替えることにし、函館→青森便をiPhoneから予約した。しかし、後日それも欠航してしまうのだが。
とりあえず、清里から島牧まで、道内を東から西へ横断し、670kmを走らなければならない。明日の夕方には島牧に着くことができるだろう。
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*初出時、東西を逆に記述していたので修正しました。アホだなあ、われながら。ご指摘ありがとうございました。