ディフェンダー車中泊用ベッド大改修

旅や調査などで出かけるとき、しばしば車中泊をする。そのために、ディフェンダー用に車中泊ベッドを自作し、つかっている。このたび、その大改修工事をおこなった。

これまでの旧バージョンの仕様はこれ。つくったのは4年ほど前のことだ。これはこれでつかいやすかったのだが、問題があった。

それは、ベッド仕様にするためにはセカンドシートを取りはずす必要があったことだ。セカンドシートは換装してあるので、ワンタッチで取り外しができる(そのときの記事はこちらこちら)。それを前提に、イレクターでフレームを組んだのだった。

シート/ベッドの換装は、もちろん出先では無理。あくまで出発前に自宅でセットしておく必要がある。

しかし実際に運用してみると、シートをとりはずしてベッドを組むという作業そのものが、なかなか大変であることがわかってきた。

いちばん難儀した点は、シートが重いことだった。一度計測してみたところ、一脚あたり20kg以上あった。これを3脚、セッティングのたびに、ディフェンダーからはずして物置まで運び、終わったら、また運びだしてきて装着しなければならない。これが腰にくる。

つぎは、雨漏りだ。荷室側は、後輪のタイヤハウスを活用するべく、その高さにあわせてベッドをつくった。しかし、稀にではあるが、タイヤハウス上に雨漏りしていることがある。雨漏り自体はディフェンダーゆえのこととて、ともかくとしても、ベッドの床板が濡れてしまうのが困る。

さらに、ベッド板の位置が低いため、その下の荷室部分の高さが稼げなかったことだ。実測で、高さ22-24cmほどくらいだったろうか。実用性に乏しかった。

そこで、ベッドの大改修に踏みきることにした。

しばらく前から道具と材料を少しずつ買い集め、仕事がひと区切りついたところで、一気に作業した。かなり一所懸命取り組んだのだが、それでもけっこう時間がかかった。

今回の条件は、セカンドシートをとりはずすことなくベッド設営を可能とすることと、既存のパーツをなるべく流用すること。

そのため今回もフレームにはイレクターを活用したのだが、かえって、えらく手間がかかってしまった。パイプツナギジョイントというイレクター用のパーツを、近所のホームセンターをまわって買い占めてきて、既存のパイプを切り継ぎにつぐ切り継ぎの連続。ゼロからつくったほうが、よほど早かったとおもう。

ちなみに、全体の構造はざっくりしたスケッチを手描きし、実測値(概数)を書き込んだだけで、細かい設計図はつくらなかった。あとはすべて現物あわせである。

製作プロセスは省略して、完成したフレームの写真を示そう。イレクターのジョイントは(一部の流用部分をのぞき)原則としてすべて金属のものを利用した。

基本的な考え方は、こうだ。まず大きく前後二つの区画にわける。後方の荷室部分は原則として常設とし、前方のセカンドシート部分については、必要におうじてシート/ベッド換装可能とする。

ただし、国産ミニバンみたいにワンタッチで、などと言いだすと構造が複雑になるので、あくまで出発前に設定するという点は、以前と同じである。シートをたおし、前部フレームを、後部フレームにあらかじめて装着してある2箇所のジョイントに差し込んで固定し、脚を装着して、床板をおけば設置完了となる。工具はヘックスレンチの5番一本で事足りる。

この写真は、背をたたんだセカンドシートの上を、イレクターのフレームがまたいでいる箇所を映したもの。イレクターがシートに接しない程度のマージンをとりつつ、しかしベッド上から天井までは一定の高さを確保するように配慮した。

荷室の最前部にあるこの斜めの部分は、フレームがずれて動くのを防止するためのもの。これまでの経験から、車が走っているうちに、どうしてもフレームが前へずれてきてしまう。そうならないためのつっかえ棒みたいなものだ。ここは採寸がむずかしく、苦労のあげくにようやくできあがった。

ベッドの床板を敷き詰めると、こんな感じである。前後方向1900mm以上、幅は広いところで1380mm、狭いところで1160mmほどを確保している。

ベッドの床板は、全部で7枚構成である。旧バージョンの床板4枚のうち3枚を改造して流用し(前部に使用)、残り4枚は新規に作成した(後部荷室部分に使用)。

15mm厚のラワン・ランバーコアの定尺合板を、それぞれの床板サイズに切りだし、ウレタンニスを塗り、やはりサイズに切りだしたパンチカーペット(ホームセンターで切り売りしている)で板をくるみ、カーペット用両面テープとタッカーをつかって固定した。

セカンドシート部分は、2:1に分割可能とした。ソロのときなら、このほうがつかいやすいかもしれない。

セカンドシートをすべて使用するときは、こんなふうになる。荷室の床板は4枚構成。板をはすずだけでベッド上から床下の荷物をとりだしやすいようにした。また片側の2枚をはずせば、折りたたんだBD-1(自転車)を積むこともできる。

荷室部分は、これくらいの高さを確保することができた。旧バージョンではタイヤハウスにベッド床板をわたしていたので、そこから二十数cmかさ上げしたため、以前の倍の高さが確保できたことになる。RVボックスや旅行バッグ、段ボール箱、65リットルの登山用ザックなどが収められる。出し入れのさいのマージンも確保されている。

いっぽうベッド床板上、天井までの高さは、ぼくがあぐらをかいた状態で、なんとか坐れるというくらい。そこはトレードオフなので、許容範囲としなければならないだろう。

これでまた、ディフェンダーで旅に出たくなった。