先日「複製技術と美術家たち」展を見に横浜美術館へいった。そのあと、みなとみらい地区を歩いていて見つけたのがJICA(国際協力機構)横浜の「海外移住資料館」だ。こんな施設があったなんて知らなかった。
入館は無料。幕末期以降、日本から海外へ移民としてわたった人たちにかんする資料が展示してある。主としてハワイ、北米、中南米が対象である。館内のボランティアの方の説明によれば、ほかの国々にも移民はあるのだが、展示スペースの関係でこうなっているのだという。
展示内容はかなり充実している。歴史的な経緯から、具体的な生活のようす、戦時下のこと、戦後、そして現在にいたるまでを網羅的に見せる。
20世紀初頭の西海岸を中心とした米国での排日運動は、サンフランシスコが中心地だったという。現在のこの街がもつイメージといえば、リベラルで寛容というものだろうから、だいぶ落差がある。実際いま、ぼくのゼミの出身者のなかにもこの界隈に住んでいる子が何人かいるのだが、苦労しながらもけっこう愉しくやっているみたいだ。この間の百年間のあいだにじつにいろんなことがあったということだろう。
説明は4か国語併記。日本語、英語、スペイン語、そしてポルトガル語。
最後に大きな写真が飾ってあった。何十人ものひとが映っている。明治初期にハワイにわたったある移民家族の子孫たちが一堂に会した写真である。ハワイの日系社会は6世にまでいたっており、すでに他のさまざまな文化的背景のひとたちと結びついているのだという。
図書室もあって、各地で発行された日本語新聞などを閲覧することもできるようだ。
資料館は2階にあるが、3階の一角では難民(無国籍者)たちを撮ったグレッグ・コンスタンティンの写真展がおこなわれていた。主催は国連難民高等弁務官駐日事務所。
なお6月18日は海外移住の日、なのだそうです。