サンクスギビングの七面鳥

11月23日はサンクスギビングだった。

11月の第4週の木曜日をサンクスギビングの祝日 (National Holiday) と定めたのはリンカーンだそうだ。翌日の金曜日も休みにする会社も多く、大学も休講となる。水曜日の午後あたりは、旅行に出るひとたちで空港も高速道路も大混雑となるらしい。たしかに、いつもなら路上駐車だらけの大学周辺の道もがらんとして、人影もまばらだった。

サンクスギビングの起源の話などについては次回書くことにして、今回はまず食べものの話をしてみたい。

サンクスギビングの七面鳥

サンクスギビングのディナーは、伝統的なアメリカ料理なのだという。中心となるのは七面鳥である。これをオーブンで丸焼きにしたものがメインディッシュだ。

ちなみに turkey をアメリカ英語できちんと発音するのは、r sound が苦手なぼくのような日本人にとって、けっこうむずかしい。

サンクスギビングが近くなると、スーパーで冷凍の七面鳥がごろごろと山積みになって売られている。どれも大人がひとかかえしなければならないほど巨大である。

アメリカでは、サンクスギビング=七面鳥、という図式が成り立っているらしい。日本だとクリスマスというイメージもあるが、必ずしもそうではなさそうだ。こちらの記事によると、毎年サンクスギビングのディナーのために屠殺される七面鳥は4500万羽にのぼるという。クリスマスに消費されるのは2200万羽、イースターに1900万羽。年間で2億4450万羽の七面鳥が生産されているのだとか。

この資料の出所は全米七面鳥組合 (National Turkey Federation) というところだそうだが、この日ぼくは車のなかで聴いていたラジオにこの組合のひとが登場してきた。司会者が、なぜアメリカの七面鳥は短期間に大きくなるのかと質問すると、飼料や育成法などを工夫してきたからです、と答える。司会者が、遺伝子操作やホルモン投与が気がかなりなのだが? みたいなことを訊く。すると組合のひとは、飼料や育成法の賜物です、とくりかえす、という謎のやりとりをしていた。

ちなみに、毎年サンクスギビングの朝のホワイトハウスでは、屠殺される運命にある七面鳥にたいして大統領が「恩赦」を与えて放免するという儀式がおこなわれる。そしてそれがニュースとして報道される。もちろんジョーク、日本語でいえば「しゃれ」である。トルーマン時代に始まったものらしい。ぼくはニュースを見ていないが、今年はトランプがそれをしたのだろう。

サンクスギビングのディナー

七面鳥以外のメニューも、伝統的なアメリカ料理だという。ポテトやパンプキン、コーンをつかった料理である。友人の家でごちそうになったものを中心に、写真とともに紹介する。

下の写真はスタッフィング。詰め物という意味。本来は七面鳥のなかに詰めて焼くのかもしれないが、こうして耐熱容器にいれてオーブンで焼く、というほうが一般的みたいである。タマネギやセロリやナッツなんかが入っている。これにグレイビー(七面鳥の焼汁からつくったソース、市販もあり)をかける。

スウィートポテト。これもオーブンで焼く。レモンのスライスに刺さっているのはcloveというスパイスだそうで、これはたべられないとのこと。

クランベリーソースのゼリー。ジャムをよく見かけるが、ゼリーにしたものを缶入りで売っている。味にうるさいひとはけっしてたべないものらしいが、友人はこれが好きだという。ジャムやゼリーは甘みもあるが、クランベリー自体はむしろ酸味のほうが強いらしい。ミシガンはクランベリーの産地でもある。

料理をひととおりお皿に盛りつけてみた状態。左中央は、パンプキンにマッシュルームとお米を詰めたもののオーブン焼きである。なぜかインド料理などもあるが説明は省略。

こちらはデザートで、クランベリーバーとチーズケーキ。シナモンやナツメグが効いている。丸いのはインドのお菓子で、チーズを揚げてシロップに漬けたものだとか。

こちらは別の機会にいただいたパンプキンパイ。サワークリームを載せてたべるのが一般的らしい。

見ただけでだいたい想像がつくとおもうが、かなりヘビーな内容である。アメリカ人たちも、ジャージをはかなきゃだめだなどと言っているくらいだから、ぼくのようにふだん野菜中心の食事をしている人間にとってはいっそうヘビーである。

ディナーをたべながらおしゃべりする、というのが、旅行に出かけなかったひとたちのサンクスギビングの過ごし方のようである。

次回は、サンクスギビングの起源やブラックフライデーについて。

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