ホーム > 観たり読んだり > 映画を観る

映画を観るのアーカイブ

『The Big House』を観る

想田和弘さんのドキュメンタリー映画(かれの言い方でいう観察映画)『The Big House』の試写を観た。

想田さんは、昨秋からミシガン大学Center for Japanese Studiesのトヨタ招聘教授として教えておられる。その授業のプロジェクトとして、Markus Nornes教授(ぼくを受け入れてくださった教員でもある)とTerri Sarris教授、それに学生十数名でもって製作したのがこの作品だ。

170414TheBigHouse_Banner

The Big Houseとは、ミシガン大学が所有・運営するフットボール場の愛称である。米国の大学スポーツのなかでもフットボールは花形なのだそうだ。収容人数11万人弱は、アナーバー市の人口をほぼまるまる収容可能な規模であり、全米最大らしい。

作品は、このThe Big Houseを舞台に、そこに往来する人びとをていねいに捉えてゆく。そしてまた製作時期がちょうど米国の大統領選挙の時期とも重なっており、それがこの作品の通奏低音ともなっている。

いい作品だ。今回はできたてほやほやの学内・関係者向けのプレビュー。一般公開はこれからだという。だから内容については直接は触れず、ぼくの感想だけ記しておく。

続きを読む

アナーバーで『君の名は。』を観る

ぼくはいま米国ミシガン州の大学街アナーバーにいる。到着して一週間とちょっと経った。昨日はちょうど北米でも公開されたばかりの『君の名は。』を観てきた。

日本のアニメが好きだというミシガン大学の学生の集まり(日本ふうにいえばサークルみたいなものなのかな?)に “Animania” というグループがあり、そこからアナウンスが流れてきた。それでアナーバーでも観られるのだと知った。

正確にいえば、映画館があるのはアナーバーの隣町イプシランティである。Ypsilanti と綴る。ふしぎな地名である。

ぼくは大学から6番のバスに乗っていった。いってみたら、案の定、車なしで来るような場所ではなかった。まっ平らなところに広大な駐車場と、お餅を上からたたきつけたみたいに横にひろがった建物があった。

続きを読む

『七人の侍』4K版のすばらしさ

黒澤明監督の名作『七人の侍』4K版を観てきた。この作品はもう何度観たことだろう。今回はデジタル修復された4K上映ということで期待していたが、ぼくの予想を上回るすばらしさだった。やっぱりできれば大きなスクリーンで観たほうがいいとおもいます。

全体に画面は明るく鮮明になっていた。以前に観たときにはややテンポが重いかなとおもったこともあったのだが、今回このような良好な状態で観ると、そのような重めのテンポもむしろ落ち着きと感じられた。つまり、少しずつテンポをあげながら徐々にクライマックスへと加速してゆく流れを感じとることができた。

予想外の収穫だったのサウンドである。この作品は、三船敏郎の菊千代はじめ、いろんな人物たちが怒鳴るようにしゃべることが多く、何をいっているのか聞き取れないことが少なくなかった。今回はそれがかなりクリアになっていた。さらに、馬の走る音や、町中の雑音、森のなかで木々がざわめく音なども、はっきりしているようにおもわれた。

こうした修復作業は地味で根気のいることだろうが、十分に敬意の払われるべき仕事だとおもう。

デジタル修復作業にかんする詳しいインタビューを見つけたので、ご興味のある方は読んでみてください。
http://www.stereosound.co.jp/review/article/2016/10/17/50246-2.html

続きを読む

映画『帰ってきたヒトラー』――大衆迎合主義の「正しい」実践法 2/2

帰ってきたヒトラー』の話のつづき。前回はこちら

オリヴァー・マスッチ演じるヒトラーは、ヒトラーがたんなる「怪物」や「極悪人」なのではなく、またそのように理解してしまうことの危険性を説得的に示している。

かれがなぜ選挙で選ばれ、あれだけのひとびとの支持を集めることができたのか。それは、かれ自身がひとを惹きつける「魅力」をもち、人間の心の奥底をとらえる洞察力をそなえ、それらを十全に機能させるためのテクニックに通じていたからだ。

ドイツ全国行脚の場面をはじめとする諸場面は、マスッチ扮する「ヒトラー」が実際の街中へ入っていき、ふつうの市民と話をするというドキュメンタリー的な手法で撮られたという。実在するらしい右翼的な政治団体の事務所へ乗り込む場面まである。おまえらのやり方じゃ生温いんだみたいなことをいって罵倒したりするのである。

どこまでが仕込みで、どこまでがセミドキュメンタリーなのかは、観ているだけでははっきり判別はできない。いずれにしても、演じるほうも演じさせるほうも、よくそこまでやったものだと感心する。

続きを読む

映画『帰ってきたヒトラー』——大衆迎合主義の「正しい」実践法 1/2

英国は国民投票の結果がEU離脱と出て、日本は参院選の真最中。このタイミングで観にゆくにはうってつけ、かもしれない作品である。

公式サイトはこちら。http://gaga.ne.jp/hitlerisback/

     *

ドイツ第三帝国崩壊の迫る1945年4月のベルリンで自殺したはずのヒトラーが2014年に転生(タイムスリップ?)する。誤解が誤解をよび、キワモノ泡沫モノマネ芸人としてテレビに登場する。が、ほどなく人びとを魅了してゆく。

ワンアイディアものなのか、あるいはお説教的なのかもと事前には危惧しないでもなかったが(原作は未読です)、いろんな意味でよく練られた良作だった。メッセージは明快で、風刺も効いていながら、しっかり笑わせもする。

ヒトラーが画家志望だったという有名な史実をうまく活かしたギャグなどもあり、とくに中盤までは笑わせる場面が連続する。これも大切なことだ。なにしろ1930年代にも「みんな最初は笑っていた」のだから。

続きを読む

ホーム > 観たり読んだり > 映画を観る

Related Other Sites
Recent Posts
Categories
  • ゼミ・授業 (147)
  • 考えたこと (131)
  • 日にち雑記 (243)
Pages
Monthly Archives
Search This Site
Subscribe SwingBooks
Lab & Seminar
RSS hajime-semi Blog
  • 先入観 2017年3月24日
       こんにちは、〈うさぎ〉です。わたしたち8期生は、先日明治学院大学を卒業しました。最近は桜の花もちらほらと […]
    長谷川ゼミ
Meta

ページの上部に戻る