マッドハウス製作、りんたろう監督の新作。製作費15億というから日本映画としては大作だが、作品の柄としては小品である。
テレビ番組の劇場版でもう一儲けという企画だらけの日本のアニメーション映画界にあって、マッドハウスはときおりオリジナル企画をぶつけてくる(ただし作品の質はさまざま)。この姿勢はもっと評価されるべきである。
本作品はフルCGの意欲作だ。主人公はじめキャラクターのデザインがかわいらしく、設定などにも工夫が見られるが、全体としてはいまひとつ膨らんでいかないまま終わってしまう。前半は部分的にすばらしいシークエンスもあるとはいえ全体としては退屈であり、後半の活劇にいたってはかなり萎む。
なによりも問題なのは、主題と物語が凡庸であることだ。プロットが類型的でシンプルなのはかまわないが、それを厚くふくらませることができていない。
登場人物の動きぶりやカメラの動きは、いかにもCGがんばってますといった趣である。しかしそうした運動はただそれだけにとどまり、物語に絡むことはほとんどない。いたってまっとうな──逆にいえば意外性に乏しい──ピクサーのCG作品のショット構成とは異なり、ロングショットが多い。ちょっと人形アニメーションふうの味わいだ。それを活かす術があれば、なおよかったのだけれど。
エンディングはタイトルバックも音楽も工夫があって愉しい。前の座席にいた小学生くらいの姉妹が踊りだし、「アミーゴ!」と叫んだ。